2024.07.23ボーカルスクールの知識
録音ボーカルを完璧に仕上げるためのエフェクトガイド!|ボーカルスクールVOAT
■はじめに
ボーカル録音を完璧に仕上げるためには、適切なエフェクト処理が欠かせません。
DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)でのボーカル編集には、イコライザー(EQ)、コンプレッサー、リバーブ、ディレイなどのエフェクトプラグインが活用されます。
これらのエフェクトの種類と使用方法を理解して、ボーカルの質を向上させるためのガイドを紹介します。
■EQ(イコライザー)の使い方
EQ(イコライザー)は、ボーカルの特定の周波数帯域を強調またはカットするためのプラグインです。
正しいEQ処理を施すことで、ボーカルのクリアさや存在感を高めることができます。
(1)周波数の理解
低音域(20Hz~250Hz):ボーカルの暖かさや重さを調整します。
ただし、過剰にブーストするとこもった音になるので注意が必要です。
中音域(250Hz~4kHz):ボーカルの主要な音域です。
2kHz付近をブーストすると、ボーカルがより前に出てくる効果があります。
高音域(4kHz~20kHz):ボーカルの明瞭さやシンシー感を調整します。
(2)EQの設定方法
カット:不必要な低音をカットすることで、他の楽器との混ざりが良くなります。
ブースト:特定の周波数帯域を強調することで、ボーカルの個性を引き出します。
■コンプレッサーの役割と設定方法
コンプレッサーは、ボーカルのダイナミクスをコントロールするためのプラグインです。
ボーカルの音量のばらつきを抑え、一定のレベルで出力することで、ミックス全体のバランスを保ちます。
(1)コンプレッサーの基本設定
スレッショルド:コンプレッションが開始される音量レベルを設定します。
レシオ:コンプレッションの強さを決定します。
例えば、4:1のレシオでは、スレッショルドを超えた部分が4分の1の音量に圧縮されます。
アタック:コンプレッションが開始されるまでの時間を設定します。
リリース:コンプレッションが解除されるまでの時間を設定します。
(2)効果的なコンプレッションのかけ方
ボーカルの自然なダイナミクスを保ちつつ、過度な音量のばらつきを抑えることが重要です。
スレッショルドとレシオを適切に調整し、アタックとリリースを楽曲のテンポに合わせることで、自然な音圧を実現します。
■リバーブとディレイの効果的な使い方
リバーブとディレイは、ボーカルに空間的な広がりや深みを加えるための重要なエフェクトです。
それぞれのエフェクトの設定と使い方について、さらに詳しく見ていきましょう。
●リバーブの使い方
リバーブ(残響)は、音が反射することで生じるエコー効果を再現します。
リバーブの種類や設定を適切に選ぶことで、ボーカルに自然な空間感や雰囲気を与えられます。
(1)リバーブの種類
プレートリバーブ:金属プレートを使用して作られたリバーブで、明瞭で滑らかな音を提供します。ポップやロックのボーカルに最適です。
ホールリバーブ:コンサートホールのような広がりのある残響を再現します。
クラシックやバラードに適しています。
ルームリバーブ:小さな部屋のような短い残響を再現し、ナチュラルな音場を提供します。アコースティックな楽曲に向いています。
スプリングリバーブ:スプリング(バネ)を使用して作られたリバーブで、特有のビンテージ感があります。ギターアンプなどでよく使われます。
(2)リバーブの設定方法
ディケイタイム(Decay Time):リバーブの減衰時間を設定します。
長いディケイタイムは広がりのある残響を、短いディケイタイムはタイトな残響を生み出します。
プリディレイ(Pre-Delay):直接音とリバーブ音の間の遅延時間を設定します。
プリディレイを加えることで、ボーカルの明瞭さを保ちながら空間感を演出できます。
リバーブミックス(Reverb Mix):リバーブ音と直接音のバランスを調整します。
ミックスの割合を高くするとリバーブが強調され、低くすると控えめになります。
●ディレイの使い方
ディレイ(遅延)は、音を遅れて反響させるエフェクトです。
ディレイの種類や設定を工夫することで、ボーカルに様々なエコー効果を加えることができます。
(1)ディレイの種類
ショートディレイ:短い遅延時間(通常50ms以下)で、ボーカルに微妙な厚みや存在感を加えます。
(2)ロングディレイ
長い遅延時間(数百ms以上)で、明確なエコー効果を作り出します。
ボーカルの奥行きを持たせるために使用されます。
(3)モジュレーションディレイ
遅延時間にわずかな変化を加えることで、コーラス効果や揺らぎを生み出します。
(4)ディレイタイム(Delay Time)
遅延時間を設定します。楽曲のテンポに合わせて設定することで、ボーカルとリズムの一体感を高めることができます。
(5)フィードバック(Feedback)
反響の回数を設定します。フィードバックを増やすとエコーが長く続き、減らすと短くなります。
(6)ディレイミックス(Delay Mix)
ディレイ音と直接音のバランスを調整します。
ミックスの割合を高くするとディレイが目立ち、低くすると控えめになります。
●実践的な設定例
(1)バラードのボーカル
リバーブ:ホールリバーブを使用し、ディケイタイムを2~3秒、プリディレイを20~30msに設定して広がりを持たせます。
リバーブミックスを控えめにして、ボーカルが前に出るように調整します。
(2)ディレイ
ロングディレイを使用し、遅延時間を楽曲のテンポに合わせて300~400ms、フィードバックを2~3回に設定してエコー効果を加えます。
ディレイミックスを低めに設定して、自然なエコーを演出します。
(3)アップテンポのポップス
リバーブ:プレートリバーブを使用し、ディケイタイムを1~1.5秒、プリディレイを10~20msに設定してクリアな残響を持たせます。
リバーブミックスを控えめにして、ボーカルの明瞭さを保ちます。
(4)ディレイ
ショートディレイを使用し、遅延時間を50ms以下、フィードバックを1~2回に設定して微妙な厚みを加えます。
ディレイミックスを低めに設定して、ボーカルが目立つように調整します。
以上のように、リバーブとディレイの種類や設定を工夫することで、ボーカルに適切な空間感や深みを加え、楽曲全体の完成度を高めることができます。
■最後に
ボーカルのエフェクト処理は、録音された音源をプロフェッショナルな品質に仕上げるために不可欠です。
EQ、コンプレッサー、リバーブ、ディレイといったプラグインの種類とその効果的なかけ方を理解し、DAWを活用して最高のボーカルサウンドを実現しましょう。
各エフェクトの処理を適切に行うことで、ボーカルが楽曲の中で輝き、リスナーに強い印象を与えることができます。

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