ミュージカルの発声とは？歌い方の違いとボイトレ方法｜ボーカルスクールVOAT

―始めに

ミュージカルは、歌唱、ダンス、演技が融合した舞台芸術の形態で多くの人々に感動を与える魅力があります。
ミュージカルの歌唱には独特のスタイルと要素があって、それを支えるためには適切な発声が不可欠です。
ここでは、ミュージカルの発声について、一般的なポップスとの歌い方との違いとボイトレーニング方法を紹介します。

■ ミュージカルの歌い方の特徴

ミュージカルの歌い方は、通常のポップスやクラシック音楽とは異なる特徴があります。
以下に、ミュージカルの歌い方の主な特徴をいくつか紹介します。

（１） 感情表現

物語性やキャラクターの感情を表現することが重要になりますので、歌詞やストーリーに応じて感情を込めて歌う必要があります。

（２） ストーリーテリング

物語性を重視しているので、歌唱が物語の進行を助ける役割を果たします。
歌詞の意味や物語性を理解し、ストーリーを観客に伝えることを意識しながら歌う必要があります。

（３） ダイナミクスの変化

ミュージカル曲は、音量や強弱のダイナミクスが豊かに変化します。
曲の流れに合わせて適切なダイナミクスを使い分けることが求められます。
地声とヘッドボイス（高い声域）を組み合わせるミックスボイスを使用することで豊かな音色と力強さを生み出すこともできます。

（４） ブレスコントロール

一つのフレーズを長く続ける場合があるため、適切なブレスコントロールが必要になります。
息継ぎのタイミングや方法を適切に把握して、長いフレーズを歌いきることが求められます。

■ ポップスの発声法と何が違う？

ポップスとミュージカルの発声法にはいくつかの違いがありますので、その主な違いを紹介します。

（１） 声量とエネルギーの使い方

ポップスでは、一般的にマイクを使用して歌うことが多いので音量やエネルギーの調整はマイクに頼ることができます。
しかしながらミュージカルではマイクを使いませんので、劇場の大きな空間を生声の力のみで埋める必要があります。
そのため、ミュージカルの発声では、より強力な声量とエネルギーを持つ必要があります。

（２） 発声の安定性と耐久性

ポップスでは、スタジオ録音や短いライブパフォーマンスが主な活動になることが多いため、発声の安定性や耐久性よりも音楽性や表現力が重視されることが多いです。
一方でミュージカルでは長時間の舞台公演が求められるため、発声の安定性と耐久性が重要な要素になります。

（３） 発声のテクニックと制約

ポップスでは自由な表現が可能であり、個々の歌手の個性やスタイルが重要視されます。
しかし、ミュージカルでは役柄や劇中の設定に忠実に歌う必要があるので発声のテクニックや制約がより重視されます。
役柄のキャラクターや物語性に従って特定のスタイルやテクニックなど様々な声の表現を用いることを求められます。
例えば、喜劇的なキャラクターの場合は明るく軽快な声を出す必要があり、感情的なシーンでは情緒豊かな表現をするために声のトーンや発声の強弱を調整する必要があります。

■ ミュージカルの為のボイストレーニング

ミュージカルでの歌唱パフォーマンスを向上させるためには、専門のボイストレーニングが重要です。
以下に、ミュージカルのためのボイストレーニングの方法をいくつか紹介します。

（１） 基礎的な発声トレーニング

地声の基礎を築くためにも歌唱の基本となる発声トレーニングは、ミュージカルの歌唱力を向上させるために重要です。
これには、正しい姿勢、呼吸法、声の発声源の使い方などが含まれます。
高音域での力強さと柔軟性を兼ね備えた発声方法であるミックスボイスのトレーニングも重要です。

（２） 演技と歌唱の一体化

ミュージカルでは、歌唱と演技が密接に結びついています。
役柄や物語性に応じた感情表現や動きを取り入れることが重要です。
ボイストレーニングの一環として、演技のトレーニングや舞台演出の指導を受けることで、歌唱と演技を一体化させる能力を高めることができます。

（３） スタイルとジャンルの多様性への対応

ミュージカルは様々なスタイルやジャンルを含んでいます。
ブロードウェイミュージカル、ロックオペラ、ジュークボックスミュージカルなど、歌唱スタイルや音楽のジャンルは多岐にわたります。
ボイストレーニングでは、様々なスタイルやジャンルに対応できる柔軟性を養うことが重要です。

（４） 曲の練習と解析

ミュージカルの曲は、技術的にも高度な要素が含まれています。高音域への移行、難しいリズムパターン、複雑な音階など、曲ごとに異なる難易度があります。ボイトレーニングでは、曲の練習と解析を通じて、技術的なスキルや音楽的な理解を向上させることが重要です。

（５） パフォーマンスのトレーニング

ミュージカルは生演奏で行われる場合が多く、ステージ上でのパフォーマンスも重要な要素です。
マイクの使い方、ステージプレゼンス、アドリブの応用など、パフォーマンスのトレーニングもボイストレーニングの一環として取り入れることが効果的です。

―終わりに

ミュージカルの発声と歌い方は、ポップスなどとは異なる特徴を持つことをご理解いただけたと思います。
だからこそ、専門ボイストレーナーによる個別のレッスンもおすすめいたします。
レッスンを通じて正しい発声技術を学ぶこと、声の制御や表現力を磨くことができるのはもちろんのこと、声帯や呼吸器の正しい使い方を指導してもらって適切なトレーニング方法もボイストレーナーは提供してくれます。
継続的な練習と努力が欠かせませんので、定期的なレッスンや練習によって、声のコンディションを維持してください。
定期的な練習や舞台経験を積み重ねることで、より自信を持ってミュージカルの舞台に立つことができると思います。
ミュージカルの魅力を最大限に引き出すために、ぜひ継続的な学習と努力を重ねて頑張ってください。